IT企業のアステリア、秋田RPA協会/秋田ワーケーション推進協会の支援により、男鹿市初となるワーケーションを実施!(前編)

2022年11月7日から10日まで、IT企業のアステリア(本社:東京都)が、秋田県男鹿市内でワーケーションを実施した。同社は、DX関連事業を展開している企業だが、以前から社員の多様な働き方改革の一環としてワーケーションに積極的だった。これまで秋田県仙北市や長野県軽井沢町、熊本県水上村など、全国各地でワーケーションを実施してきた。今回の男鹿市での取り組みは、秋田RPA協会と秋田ワーケーション推進協会の後援のもとで実施され、地方創生の観点から、男鹿市役所の職員や地元経営者とのワークショップも開催された。

夕暮れ間近の男鹿市入道崎にて

●初日は男鹿のプチ観光とアクティビティ! 新鮮な魚介の買い物も

本プログラムでは、アステリア社員が3泊4日の日程で、男鹿市内の宿泊地においてテレワークを実施するというもの。実は、男鹿市がワーケーションを行う企業を受け入れることは今回が初めてとなる。そのため、宿泊施設やワークスペースは地元のカフェや民宿などの協力により確保したそうだ。今回の取り組みは、単なるワーケーションの一環としての側面だけでなく、地域社会と「よそ者」の交流を活性化し、地方創生や関係人口の創出につながる形を模索することも目的の1つになっているという。

ここからはタイムラインに沿って、今回のワーケーションの概要を簡単に紹介していこう。初日午後に、首都圏の在住者2名のほか、愛知県(名古屋)と秋田(横手)からアステリアの参加メンバー社員が秋田駅に集合。その後、男鹿市に移動し、まずは男鹿を知るためにプチ観光を実施。男鹿市の全景を見渡せる寒風山や、怪獣の形をしたゴジラ岩【★写真1】といった名所を巡り、なまはげの里「オガーレ」で魚介類の買い物などのアクティビティも楽しんだ。

【★写真1】海に向かって吠える「ゴジラ」の横顔⁉ のような奇岩の前でメンバーの集合ショット

その後、宿泊施設「ゲストハウス男鹿」(http://guesthouse-oga.com/)にチェックインし、各自で初日のワークを終えたのち、夕食の秋田名物「きりたんぽ鍋」に舌鼓を打った。

●地域事業者との意見交換は大盛り上がり! 美味しい地元の食材とお酒も

いよいよ2日目からが本格的なワーケーションがスタートした。
男鹿駅にほど近いTomosu cafe( https://www.instagram.com/tomosu_cafe/)に移り、同カフェ2階のリクリエーションスペースを貸切り、各自のスタイルで丸一日分、仕事に集中した。

夜からはTomosu cafe にて、地域事業者とともに、男鹿の課題解決に向けたワークショップが行われた。アステリア社員に加え、男鹿市役所の職員や地元の若手経営者が参加し、熱い議論が交わされた【★写真2】。このディスカッションの模様は、後編で詳しく紹介する予定だ。

【★写真2】夜からTomosu cafeにて開催されたワークショップの模様。男鹿市の職員や若手起業家、
総勢20名が集まってくれた。

【★写真3】交流会で振舞われたフクシマ特製のオードブル。地元で有名なローストビーフは絶品だった。

2日目夜は、風情ある「ににぎ」(http://ninigi-cafe.com/)【★写真4】にて宿泊。
こちらは以前、(一社)創生する未来の記事としても取り上げた、猿田 真氏が経営している農家民宿&カフェだ。(https://wirelesswire.jp/2017/12/62855/

【★写真4】古民家カフェ&民宿・ににぎ。都会の喧騒を離れ、自然を感じながらのワーケーションで心身もリフレッシュ。

●ワーケーションに加え、男鹿の伝統文化・風習を知るアクティビティに感動!

3日目の午前中は、にぎぎのカフェスペースにて、各自がワーケーションにいそしんだ。だいぶワーケーションに慣れてきた様子のアステリア・メンバーは、リモート会議をしたり、プログラミング開発を行うなど、各自の仕事のスケジュールを真剣にこなしていた【★写真5】。

【★写真5】畳部屋と昔ながらの丸テーブルで真剣にお仕事。通信環境もそろっているので、リモート会議も普通にできる。

また、今回のワーケーションの発起人であり、リーダーである松浦真弓氏【★写真6】が、地元の新聞社・秋田魁新報社(あきたさきがけしんぽうしゃ)から取材を受け、アステリアの紹介やワーケーションの趣旨などについて説明していた。「自分たちのようなIT企業は、仕事柄どこでも業務ができるため、ワーケーションとの親和性は高い」と語った。

【★写真6】秋田魁新報社の取材を受けるアステリアの松浦真弓氏と、秋田ワーケーション推進協会の伊嶋謙二氏。

男鹿市では、交流人口の拡大に向けて、「なまはげの里男鹿ワーケーション推進補助金」を創設しており、市内の宿泊施設で2日以上ワーケーションを実施すると、一人あたり最大5万円までの半額補助してくれるという。実は、この制度を活用した第一号がアステリアであった。

午後からメンバーは仕事からいったん離れて、男鹿市のなまはげの習俗をいまに伝える「男鹿真山伝承館」(https://namahage.co.jp/namahagekan/oga_shinzan_folklore_museum/)にてアクティビティを楽しんだ。ユネスコ無形文化遺産に登録されたなまはげと住民のやり取りを見学し、男鹿市の伝統文化と風習に触れた。併設のなまはげ館では、なまはげの変遷が理解できる多数の展示にも驚いた様子だった
【★写真7】【★写真8】。

【★写真7】この地域がなまはげの発祥の地だという。なまはげの風習を知る貴重な体験ができた。

【★写真8】これまで使われてきた「男鹿市の各地に伝わるなまはげ」が一堂に会して圧巻。なまはげには様々な種類があることも分かった。

【★写真9】前日の交流会に参加できなかった男鹿市長が、わざわざ滞在中のホテルまで訪問してくれた。

3日目、最後の夜は男鹿温泉郷の名物「なまはげ太鼓」を見学。参加メンバーは、ド迫力の圧巻パフォーマンスに度肝を抜かれたようだった【★写真10】。

【★写真10】会場に響き渡る太鼓の音圧が体全体に伝わる。素晴らしいパフォーマンスに観客から大きな拍手も。

●4日間を通じて分かった! ワーケーションの効能と課題

4日目、最終日の午前中は、ワーケーション参加者全員でクラフトサケ醸造所の「稲とアガベ醸造所」(https://inetoagave.com/)を見学。この醸造所は、旧男鹿駅を改装してオープンしたものだ【★写真11】。

【★写真11】稲とアガベ醸造所の酒造りの様子。外国人を含む数人の杜氏が、忙しそうに作業していた。

同社が造るクラフトサケとは、日本酒の製造技術をベースとした酒、または副原料を入れた新しい味わいを目指した新ジャンルのお酒と定義されている。同社の経営理念は「男鹿の風土を醸すこと」だ。男鹿の風土をそのまま瓶に詰め込んだ酒造りを、地域との交流を通じて実現したいという。

また同社は酒造りにとどまらず、人々がワクワクする事業を創出し続け、交流人口を促進して、男鹿の風土を醸していくという。そのために日本酒特区の新規創出や、男鹿酒シティ構想、未来を担う人材の育成を通じ、男鹿の未来の礎を構築していく構えだ。

その後、アステリア一行は、美しい庭園で有名な大龍寺(https://oganavi.com/spot/46/)を散策し、ランチを取りなら最後の総仕上げのコンプリーションを行った。

【★写真12】大龍寺と楽水亭庭園。歴史ある日本庭園と、多宝塔様式で鐘楼を兼ねた日本唯一の龍王殿が有名。

コンプリーションでは、男鹿市役所から2名の職員も参加し、男鹿市のワーケーションのメリットや気づき、課題などが話し合われた。今回のワーケーションは、受け入れ側の施設がワーケーションを専門にしていたわけではなく、あくまで実験的に参加したこともあり、必ずしも施設としては十分とはいえなかったことも事実だ。

たとえば「電源コンセントが足りない」「イスや机が自宅のようなものとは異なる」「大きなディスプレイが欲しかった」といった感想もあったが、その一方で「そういった不便さを織り込んだうえで、自らが快適に仕事ができる環境を用意することも大切」といった意見も出た【★写真13】。

【★写真13】総まとめのコンプリーションの模様。男鹿市から職員の三浦大作氏(写真手前右)と伊藤 瞳氏(写真手前左)が参加。
来年、男鹿駅前にコワーキングスペースができるという情報も!

しかしワーケーションの目的は、必ずしも仕事の効率だけとは限らない。従業員のウェルビーイングの観点もあるだろう。その点は、今回参加したアステリア社員も実体験から十分に理解していたようだ。むしろ日常生活から離れ、非日常の環境で心身をリフレッシュすることで、明日への活力が生まれたり、従業人同士のコミュニケーションや結束を強められたりする効果のほうが、このご時世では重要なのかもしれない。

後編では、2日目の夜に男鹿駅にほど近いTomosu cafeで開催された、地域事業者とのディスカッションと交流会の模様について報告する予定だ。


後援:
秋田ワーケーション推進協会 (https://workation.akita.jp
一般社団法人 秋田RPA協会 (/)
監修:創生する未来
執筆:井上猛雄